さばくさらかし岩
あるところの崖の上に
今にも落ちそうに鎮座している大きな岩がある。
ちょうど道すがらなので、
その道を通る人はいつも見上げてしまう。
その岩には、名前にちなんだ逸話がある。
昔、魚の行商人が通りかかり、いつ落ちてくるんだろうとずーっと見ていたら、持っていた鯖が腐れちゃったよというお話し。
だから、その岩の名前は「さばくさらかし岩」というのだ。
そのまんまなのだけど、この名前を聞いてしまうと他の名前は浮かばない。
一度聞くと忘れられない強烈な印象。
語感も独特。さばくさらかし岩。
古の人々はどんな思いであの風景を観てきたのだろう。そしてその名前をどんな思いで呼んでいたのだろう。
後世、こんなに離れた土地に居るのに、その名前をふと思い出す人がいるなんて思わなかったのだろうに。
ネーミングというのは本当に絶妙で面白い。
これが違う名前なら思い出したりしないと思う。さばくさらかし岩。
ほんとにたまにふと思い出し、心の中でくすっと笑ってしまうのだ。
※検索したら出てきます、きっと。
落ちないようにがっつり固定されているらしい。そりゃそうですよね。